『Sniper Elite』シリーズのプレイフィールは、これまで殆ど変わる事はなかった。

が、今作『Sniper Elite4(以下SE4)』で一変した。
「今作のシングルプレイは最高の面白さだ！少しでも興味があるなら今すぐ遊んで欲しい！」と、オタク特有の早口で捲し立てながらオススメしたい。
どの程度オススメしたいかと言えば、SE5の発売も決まったわけで、2021年12月のウィンターセール時に、実に6度目となるレビューの書き直しをする程にだ！

※Sniper Eliteシリーズが好き過ぎるため、ただでさえ長いと言われる自身のレビューの中でも、過去最長となっている事は大変申し訳なく思います。

これまでのシリーズは、目標地点の敵集団を排除し、次の目標地点へ移動し敵集団を排除しの繰り返しで、誰がプレイしても一辺倒な攻略ルートとなってしまう、1本道に近いマップ構成となっていたため、シリーズの違いはシナリオとマップ、グラフィックの進化程度だった。

今作SE4も、シナリオ、マップ、グラフィックの進化がメインとなる。
狙撃した敵兵のX-Rayを楽しみながら、ときにタクティカルに、ときにスニークにミッションを進めてゆく事にも大きく変わりはない。
しかしながら、今作では以下に挙げる要素が上手く噛み合うことで、一辺倒ではない様々な攻略ルートを生み出した。
周回プレイに興味のないユーザーには常に緊張感のあるプレイを提供し、ヘビーユーザーにはリプレイ性と新鮮味を提供する事が出来たのだ。

・SE3の倍以上に広がった、1本道での攻略を極力排したマップ
・過去作では飾り同然だった草の茂みに意味を持たせた
・自然過ぎる故に、良い意味で面倒だと思える敵の配置
・好きな順序で達成可能となったクリア目標
・行動パターンが進化した敵AI
・消音弾の実装

無数の攻略ルートを生み出したとはいえ、この順序で攻略すると楽だなというルートは存在する。ただし、1周目にそのルートを辿る事は難しいだろう。それほど自由で、面白く、攻略しがいがある。

……諸手を挙げオススメするとはいえ、勿論デメリットも存在する。

・マップが広くなった結果、相対的に過去作と比べ難易度が上がった
・同じく1ステージ辺りの攻略時間も長く掛かるようになった
・AIの進化に伴い、敵兵の捜索行動が執拗になった
・茂みを用いたCQCで敵AIを翻弄出来てしまう
・消音弾が強すぎる

特に問題なのは茂みを用いたCQCでAIを翻弄出来てしまう点だ。具体例を挙げよう。

捜索・警戒中（黄）の敵兵が複数、プレイヤーの潜む茂みに近づいてきた。
うち1人の敵兵がこちらを感知。当該敵兵の状態が発見中（赤）へと移行し、他敵兵も駆けつけるのだが……。

茂みに潜んだ状態でCQCを使用し、発見中（赤）の敵兵を倒す
↓
他敵兵も発見中（赤）へ移行する
↓
すぐさま茂みに隠れ直す
↓
他敵兵は捜索・警戒中（黄）へ戻る
↓
次の敵兵（黄）がこちらを感知し発見中（赤）へ移行
↓
そいつをCQCで倒す
↓
以上繰り返し

この手順で発見（赤）を逐一捜索・警戒（黄）状態に戻しつつ、何人でも敵兵の処理が可能だ。
敵スナイパーなどの、遠くからこちらを発見出来る敵が上記サイクル真っ最中のプレイヤーを発見してしまった場合はこの限りではないが、敵兵にわざと姿を晒し茂みにおびき寄せ、上記サイクルを繰り返すだけで簡単に攻略出来てしまう場面が多くあるので、これを多用したプレイはゲームを単調なものへと変えてしまうだろう。

さて、シングルプレイに関しては以上だ。
購入を検討しているユーザーの参考なれば嬉しい限りだが、まずは、ここまで目を通してくれた事に心から感謝します。
ありがとう！

個人的にはここからが本題だ。

SEシリーズは、実はマルチプレイ・PvPゲーとして秀でている。
マルチプレイのフィーリングに関しては、発売直後、次いで2017年に改稿したが、2020年にも書き直す事になろうとは思わなかった。何故なら日本人ユーザーが希少だからだ。1人でも多く増えてほしいと願っている。

改稿にあたっては、興味はあるものの手を出したことが無いというユーザーに向けた説明を、箇条書きと補足で幾つか説明を行った。

・旧シリーズのマルチにも一定数のユーザーが大体どの時間帯にも居る
・皆スナイパー。待ちが基本の為ping250～280までは円滑にプレイ可
・対戦ルールは、殆どが当たり所を問わない1ショットキルルール
・DLC武器・キャラスキンによる有利不利は超稀
・ping差を加味した偏差撃ちは必須でもない
・チーム所属プレイヤーは手練

SEシリーズは良くも悪くもゲーム性がほぼ変わらないため、自分がプレイしたいマップが収録されているシリーズで各々遊んでいる。つまり、シリーズの新旧を問わず常に一定数のプレイヤーが集まるのだ。
トーチカや塹壕、砲弾が穿った穴以外に身を潜める場所のない状況でヒリつく勝負をしたいならSniper Elite V2を選び、遺跡や入り組んだ森林での立ち回り勝負や、遥か先からこちらを狙う豆粒程度の敵と、一瞬のスナイピング勝負をしたいならSniper Elite 3を選ぶといった具合だ。
また、シリーズが古くなるほど猛者が増える。Sniper Elite V2のマルチプレイは超ヤバい以外に表現しようがない。

全員がスナイパー＝全員が常に待ち状態のため、大体の場面でこちらも相手も静止している。
加えて1ショットキルルールが主流の現在、相手を先に見つけて何でも良いから1発当てさえすれば勝ちであり、ping差がハンデとなる場面は相手と同時に撃った時くらいなものである。
また、狙撃ポジションに使われそうな場所へ予めトラップを仕掛けて倒す方法も良く行われる。勿論これもpingに左右される事は無い。
対戦の際には実際に確認してみよう。どのプレイヤーもping100～280の範囲でバラバラのはずだ。

なお、例外として、移動と停止を繰り返しながらショットガンやCQCでキルを取る事を得意とする手練も存在する。大変稀だが。

DLC武器やスキンが豊富な今作だが、武器はPvPよりもシングルプレイやPvE(COOP)で輝く性能が殆どだ。銃身自体がサプレッサーという例外が1丁有るものの、PvPでも消音弾を持ち込めるため使用者は少ない。

また、武器の迷彩スキンはゲーム上あまり意味を成さない。武器を構えるのは発砲の直前だからだ。キャラスキンは長距離だと若干見つけ難いかな？程度には機能するが、わざわざ購入する程ではない。迷彩スキン、キャラスキン、どちらも装備するとカッコいいが。
なお、例外的に雪上用のキャラスキンはカモフラージュとして強力なものとなっている。ただし、雪上用スキンのうち1つはソロでCOOPをクリアした際の報酬として入手出来るため、わざわざ購入する必要はない。

これは文章での説明が難しい。ping100とping280でのズレは体感出来る程に顕著だが、1ショットキルルールが主体の昨今、1つの武器に絞って練習していれば慣れる事はさほど難しく無い。
ただ、わざわざ射線が通るような所をテクテク移動している相手を撃ち、発砲音から自身の居場所を知らせてアドバンテージを与えるくらいなら、発砲せずにタグ付けで留めるのが賢い判断だろう。

様々なゲームで、そのゲームでのPvPをメインとするチームが存在するように、Sniper Eliteシリーズにも幾つかのチームが存在する。
これまでのシリーズを通して幾度となく撃ち合ってきた私自身の主観で手練が多いと感じた順に挙げるなら、【DSB】【@ 名前 Br】【CC】【SPH】が付くプレイヤーは要注意だろう。

チームメンバー同士で集まり他プレイヤーを蹂躙する事はしない彼らだが、彼らは単体で、文字通り一騎当千の活躍をする。シモ・ヘイヘやヴァシリ・ザイツェフ、リュドミラ・パブリチェンコが複数人いるような戦場はハッキリ言って地獄そのものだ。不用意に動こうものなら頭に穴が1つ増える。なんなら一切動かなくても積み重ねた経験で決め撃ちしてくる。
……そんな彼らから「TDMの人数が足りないんだけど助っ人頼めない？」とメッセージが飛んで来る事もあるだろう。その時は、俺も一騎当千の一人だったか……と自負して良いだろう。

長々と、本当に長々と書き綴りましたが、私はこのSniper Eliteシリーズが本当に好きです。
もしここまで読んでくれた方がいたなら、感謝で頭が上がりません！……頭上げると撃たれるからね。
マルチで対戦相手がほしい時は、何時でも気軽に声をかけてください。すぐ行きます！
それじゃ、本当にありがとう！grhf！