Évaluations récentes de 天然ステルス

『ギセイヒーロー』の浪漫結社が贈るストロングスタイル乙女ゲー。

昔のFlashみたいに雑ストロングスタイルな立ち絵の使い方やどこか胡乱な登場人物達のビジュアルから一見すると前作『車退社』[www.freem.ne.jp]の流れを汲んだバカゲーにみえる本作だが、ストーリーは学園もの定番の半年そこら…ではなく、きっちりと1年…どころか3年分用意されており、3年目を迎える後半になると（ギャグとは別の意味で）ブレーキの効かない展開の数々にプレイヤーの情緒がされる上、実際に「じゃ、『壊れる』かぁ～。」となるし、クリア後にはソークガンよろしく他のプレイヤーにも『壊れてほしい』と願ってしまう事必至。

特に全てのルートの真エンドを見ることで開放される終盤のルートは、主演であり作者であるUnri氏の『強いリスペクト』と演技を存分に感じる凄まじい内容となっている為、覚悟推奨。
過去ノベルゲーを『結末』までプレイして『読んだことを後悔するほどの精神的負担を感じた』、『心に大きな穴を抱えて失意のまま生きている』、『永遠に叶わぬ恋を抱いた事がある』人はぜひプレイしてほしい。

『世界滅亡が予言された年、東京』を舞台にマミヤという存在、周防景人という人物に人々が狂わされた、世界滅亡共有幻想マミヤの完結編。

DdDの前エピソードである『FallDown』、『DownFall』は構成や演出が変更されて、特にFallDownは前のバージョンでは「選択肢の無い『マミヤ』による破滅」だったのに対し、今作では「プレイヤーの選択によって『夏目の友人達』を追い詰める」ものとなっており、レガシー版をプレイした人も容赦なく（無論未プレイ者も）『マミヤ』によって精神的に蹂躙されていく為、プレイする際は充分、覚悟持ってプレイしてほしい。

本編ストーリーは『周防景人』の死を避ける為に『僕』が下した決断によって生まれた世界線で展開される、『マミヤ』の死を追う東條湊・森近春樹の『DoomsDay』と、2003年の真相を追う菊池リョウ・周防景人の『dayDreams』の二つのメインルート、4つのエピソード+αが存在し、再びのFallDownを繰り返していくのだが…

登場人物達の『間宮』を通した時間のパラドックスさえも無視した、複雑怪奇な人間関係によって発生する筆舌に尽くしがたい何度も絶句してしまうシナリオ構成は、どのルートも『単独のビジュアルノベル』としてみても非常に完成度が高く幾度でも精神を破壊されてしまうが、本当に面白く、必見。
特に『DoomsDay』ルートは作者のココロ・テン氏の過去作である『レムレスブルーの午前2時[www.freem.ne.jp]』のテーマ性を更に昇華させており、それ込みでプレイした人にとっては更に突き刺さる内容となっている。

BGMも新規のものが追加されており、Lorenzoの『We All Fall Down[lorenzosmusic.bandcamp.com]』やSemaphoreの『Destroying the Evidence[semaphoretheband.bandcamp.com]』をはじめとした印象的なボーカル曲などの選曲センスが光っていて最高。

元々、Steamオーバーレイと静的動作のティラノスクリプトでは相性が悪く、対応している本作のレガシー版でもスクリーンショットを撮るのに少しコツが必要だったのだが、本バージョンではメッセージウィンドウのUIが動的になったことで（完全ではないものの）撮りやすくなっている為、共有幻想が更に強固なものとなっている。

二つの時代、加害と被害、現実と空想全てが曖昧になった12月の東京で待ち受ける『誰しもが共感しも共有し得ぬ世界の滅亡』をぜひ味わってほしい。

BLACK SHEEP TOWNのBA-KUと瀬戸口廉也が贈る、黒い羊に次ぐ白い蚕の浪漫活動文學。

舞台は大正の時代、 『ひひる』という人種、『風爛症』という架空の病を描いているが前作BSTにおけるタイプB能力者のそれを更に推し進めたものとなっていて、その意味でもBSTと対になる、 姉妹作でありながらも精神的続編に近い立ち位置にある作品である。

華族出身のひひる専門の医師 『千種正光』 と文化人の産まれである高校生『天間武雄』、ひひるが日常的に存在する両者の視点から、医療介護の限界や制度の未整備及び発展による差別や偏見を多角的に、そして『人間』の精神の荒廃を、徹底して扱っているが故に選択肢は非情に重たく、千種医師と武雄青年の『人間性』、他ならぬプレイヤーの思想そのものを試されるナラティブ性の高い内容となっている為、前作のエログロ描写とは別のベクトルで人を選び、生半可な心持ちでプレイした者の心を容赦なくへし折ってくるので覚悟は必至。

UIはGPD Win4を始めとしたハンドヘルドでプレイするにはトラックパッドを要するくらいに使いづらいが、テキストは設定デフォルトでも問題無い程度にははっきりと読むことができる。
加鳥先生にも、そのことを報告しないとな。

※Kickstarterで支援済

流星のロックマンの影響を受けたターンベース制のコマンド式SF・RPG。
広義的な意味でもエグゼフォロワーだが、エグゼのようなバトル要素はスキルを選択する時や敵の攻撃を避ける時などに限定しアレンジがされているのが特徴で、ACTを用いた戦闘は少々慣れが要るもののストーリーが進行したり探索を進めればできる事が増えていって後半を迎える頃には加速度的に面白くなり、とてものめりこめる。

ストーリーは過去の大災害により滅亡一歩手前に追い込まれた惑星の衛星である『ルナー』を舞台に、ルナーフォースの戦士『ベラ・グレイ』が反物質生命体『マーク』の脅威と戦いながらも葛藤を重ねるものとなっていて、可愛めなアートワークとは裏腹にシリアスでヘビーではあるが、日本語ローカライズはしっかりとしている為、その辺もキチンと楽しむことができる。

元々のパイロット版がRPGツクール2003製でゲームのボリューム的にもツクール2000系の自作戦闘を実装した中・長編フリーゲームの延長線上にあるので、直接エグゼ・流星シリーズに触れた層以外にも、かつてそれらをプレイしていた人にぜひオススメしたい作品。

元々がVR用に作られたゲームな為、GPD Win4などのRyzen 6800U以降を搭載したハンドヘルド機のジャイロ機能を使ってプレイすれば、擬似的にVRみたいな遊びができてマジ面白いのでぜひお試しあれ。（アナログスティックで位置調整できてほんとストレス無く遊べるから楽、まさにStress Level Zero）
でも、振り返ると犬の着ぐるみを着たアイツが潜んでいるかもしれないので、そこはご用心を…

ネオしらけ世代の
ネオしらけ世代による
ネオしらけ世代の為のナンセンスノベルゲー

同名同人誌を原作にした絶滅危惧種×魔法少女なノベルゲーム。

愛玩動物献納運動で大切な家族を喪った過去を持つ、保護団体『アガペ』の新人マスターの青年と、対密猟者用に生まれ変わった生物兵器『RLGs.』の7番目『アンデスフラミンゴ』の出会い、そして密猟者『Human』から大切な命を護る為に戦う二人の姿を描いたストーリーで、基本的にナビやアマミノクロウサギ、アガペの仲間達や中盤から登場するHuman『コレクター』の双子のおかげで明るい作風ではあるが、その一方で人間の都合によって新生したRLGs.という存在の歪さやその是非を問う展開といった擬人のジレンマ、エゴという名の牙を手にした密猟者Human等、人間達の業や矛盾と重いテーマを扱いつつ、不穏さを匂わせながらも王道の魔法少女ものとして仕上げているのがGood。（死亡フラグ全開な先輩魔法少女とか、やや変則的だけど民衆に石を投げられるシーンもある）

あとイベントスチルにアニメーションやエフェクト演出が入ってる為、印象に残るカットは多め。

この世、俺たちの生きる現実が残酷なのか、どうなのか。
それに対する解答を、俺は持たない。
だから、その答えが見つかるまでは。

京都を舞台にした怪異ミステリーノベル。

京都で起こる不可解な怪死事件を賀茂院探偵事務所…通称カモタンのメンバーが解決していくストーリーで、全部で4つのエピソードからなる構成となっている。
事件関係者が残した痕跡を独自の情報網を持つ虎朔（こさく）と漣迩（れんじ）が調べ上げ、現場に残った強い思念の『色』を主人公・巽（たつみ）の持つ共感覚で見つけ犯人を追い、所長の兵伍（ひょうご）の推察で一応は解決するのだが…そう、一応ではある。

たしかに兵伍の推論によってそれっぽく、納得のいく答えに着地する。
しかし、厄介な事にそれで納得してしまうせいで、カモメン達が一連の事件に対するある重大な見落としを気付かないが為に、肝である怪異が絡んだ因果については一切説明が付かないまま事件は解決アンドフェードアウトし、そのまま次の事件に移っていくので、本編中でそれらが解消される事はまったくこれっぽっちもないのである！

…ただし、事件そのものの裏を追う材料についてはきちんと用意されている為、各事件に潜む背後性や断片的に語られた部分を考察する事ができ、その辺はプレイヤーの解釈に委ねられる形にはなるものの非常に面白い。

はたして、カモメンでもたどり着けなかった真相にあなたは近づけるのだろうか――？

『山桂』・『百曲』のマゼンタファクトリーが贈る、SF御伽噺的ノベルゲーム。
『百曲』をプレイした人ならピンと来るかもしれないが、同作のヒロイン、李佳蘊（リ・カウン）ちゃんが生前愛読していたあの『山海』である。
肉体の制約から抜け出した人類と、知性を得た人工の魂『智子（ソフォン）』が繁栄する遠未来の世界を背景にしているが、舞台はこれまでのマゼンタファクトリーの過去作同様の変わらず、短いながらも穏やかな時間が流れる、そんな一幕を描いた内容となっている。
『百曲』でも出てきた楽器コンサーティーナや、『猟師と狐』など、本作も作中作でありながら同作と繋がりを感じさせる部分もあったり。
背景の建築やインテリアのデザインが素晴らしいのはもちろんのこと、これまで2Dだった登場人物のグラフィックまで3DCGになっていて更に進化している…というか遜色がほとんど無いと言ってもいい。
特にかわいいのが本作のメインヒロインである贝翠（ベッツィー）ちゃんで、実際にプレイすればわかるが、幼い自我が芽生えた彼女の表情の付け方が完全にロボボディでありながら印象に残るくらい素晴らしく

マジでかわいい
ほんとにかわいい

あといくつかお風呂（シャワー）シーンあるけどマジでえっち…っていうかスケベすぎない！？梦也氏！？？？？？？？

日本語には対応していないが、地の文が無くスチルメイン（なんと驚異の800枚超）で、そんな難しい表現も使われていないのでOCR翻訳でも読みやすくオススメ。（ただしウィンドウレスなUIなのでバックログからスキャンして読む必要あり）

彼女と彼女は（再び）私に教えてくれました。
この世界の広さと無意味さを。